レンタルオフィスとは?種類・従来のスタイルとの違いとメリット・デメリットを解説
従来のオフィスとは一線を画す利便性と柔軟性を兼ね備えているのが「レンタルオフィス」です。
この記事では、レンタルオフィスの概要や種類、賃貸・シェアといった別のオフィス形態と比較したメリット・デメリットを解説します。選び方やどのようなニーズ・課題を解決できるかについても分かりやすくまとめているので、ぜひ参考にしてください。
レンタルオフィスとは
まず、レンタルオフィスの特徴と現状を確認していきましょう。
レンタルオフィスの特徴
レンタルオフィスとは、ビジネスに必要な設備や環境が整った貸事務所を指します。柔軟なワークスタイルを実現するオフィスの新形態「フレキシブルオフィス」の一つです。デスク・チェアや収納器具、インターネット回線など基本的な設備が整ったワークスペースが定額料金で利用できます。
レンタルオフィスにおける個室・共用スペースの規模や利用人数などは、サービス・プランによってさまざまです。起業・創業のほか、新拠点やサテライトオフィスの設置、フリーランスなど、多種多様なビジネス形態に対応します。
レンタルオフィスの需要が高まる背景
レンタルオフィスをはじめとするフレキシブルオフィス市場は、大都市圏を中心として近年急速に拡大傾向です。
総務省がまとめた調査によると、働き方改革に前向きな企業は全体の28%です。大企業のほか、零細企業や10年以内に起業・創業した新興企業も、働き方改革およびそれに対応するためのサテライトオフィス設置に積極的だと分かりました。
とはいえ現時点ではフルリモートではなく、オフィス出社と組み合わせたハイブリッドスタイルが主流のため、オフィスを完全になくすのは困難です。しかし、従来の賃貸のオフィスでは、稼働率に対して運営コストがかかり過ぎます。
そこで注目され始めたのがレンタルオフィスです。本社としての利用のほか、サテライトオフィスなど、さまざまな用途に活用・切り替えができるため、目的やニーズに応じて使い分けられます。
サービスオフィスといった、レンタルオフィスをグレードアップした新サービスの展開も広まりつつあり、需要は今後ますます高まっていくでしょう。
(出典:「サテライトオフィス」設置に係る民間企業等のニーズ調査(分析概要)|総務省地域力創造グループ地域自立応援課)
レンタルオフィスとコワーキングスペースの違い
コワーキングスペースとは、共有空間にある席やブースを借りるスタイルのワークスペースです。占有スペースが固定されておらず、他社と席やスペースを共用するため、その分費用も安価となっています。
レンタルオフィスとコワーキングスペースの違いは、その目的にあります。レンタルオフィスはビジネスに集中するための環境であるのに対し、コワーキングスペースは利用者間の交流に重きが置かれています。
またコワーキングスペースは、基本的に占有できる個室がありません。そのため、利用の際はプライバシーやセキュリティ、他社などへの十分な配慮が必要です。
レンタルオフィスとサテライトオフィスの違い
サテライトオフィスとは、本拠地とは別に設置された小規模の拠点です。主に、従業員の通勤の負担軽減を目的として設置されます。
サテライトオフィスは、占有の個室のほか、他社とのスペース共有・間借りで設けられるケースもあるなど、決まった形態がありません。そのため、レンタルオフィスもサテライトオフィス開設時の選択肢となります。
レンタルオフィスの種類

一口にレンタルオフィスといっても、さまざまな種類があり、それぞれ特徴が大きく異なります。以下では、代表的な3種類のレンタルオフィスについてみていきましょう。
サービスオフィス
レンタルオフィスのうち、より付加価値の高い貸事務所をサービスオフィスといいます。基本的なシステムはレンタルオフィスと同様ですが、サービスオフィスの最大の特徴はラグジュアリー感が重視されている点です。
例えば、サービスオフィスは立地や内装、家具・設備に至るまですべてファーストクラス。ハイグレードなオフィス環境が手軽に設置できるにもかかわらず、費用は定額制のため、リーズナブルに利用できる点がメリットです。
さらに、受付スタッフ常駐の共用エントランスやコンシェルジュサービス、会議室・イベントスペースの利用など、ニーズに応じて幅広くきめ細やかなビジネスサポートが組み合わせられます。
なお、サービスオフィスの詳細はこちらの記事をご参照ください。
サービスオフィスとは?シェアオフィス・レンタルオフィスとの違いや活用シーンを紹介
バーチャルオフィス
バーチャルオフィスとは、インターネット上の仮想空間に設置されたレンタルオフィスです。オフィスといっても、現実に事務所や業務用のスペースを構えるのではなく、住所や電話番号を借りるスタイルとなります。
法人登記用に個人情報を利用したくない場合や小規模のスタートアップ、フリーランス・個人事業主で信頼性を高めたいときなどに便利です。
インキュベーションオフィス
インキュベーションオフィスとは、レンタルオフィスのうち、起業・創業のサポートに特化したスタイルです。主に官公庁およびその委託事業として展開されているサービスが多く、起業・創業に関するさまざまな支援が受けられます。
ただし、インキュベーションオフィスを利用できるのは起業・創業を控えている方限定です。一般的なレンタルオフィスとは異なり利用期間も定められているため、いずれ別の場所に拠点を移さなければならない点にも注意しましょう。
レンタルオフィスとほかのオフィス形態の比較
ここでは、レンタルオフィスとの比較として、賃貸・シェア・自宅に構えたオフィス形態の特徴をそれぞれ説明します。
賃貸オフィス
賃貸オフィスとは、建物のオーナーと直接テナントの賃貸契約を締結するスタイルのオフィス形態です。オフィス全体もしくは個室が自社の占有スペースとなり、内装や設備の種類・レイアウトが自由に決定・変更できます。また、自社オフィスという扱いになるため、対外的な信頼性も高まるでしょう。
しかし、賃貸だと契約時の敷金・礼金の支払いや内装・インフラなどにかかる設備費がすべて自社負担です。特に、都心や繁華街、駅近などの好立地のオフィスはコストも高額なため、投資リスクが高くなります。
開業・創業時のイニシャルコストだけではなく、維持・管理のランニングコストもかかるため、規模の大きな企業・事業でなければ非効率的です。
シェアオフィス
シェアオフィスとは、他社オフィスの一区画を自社のワークスペースとして借りるスタイルのオフィス形態です。いわゆる「間借り」のことであり、テナントとしてオフィスを占有するよりコストが低く抑えられます。
また、他社と同一スペースの一区画をレンタルするシステムのため、共有する別企業・事業との交流の機会が多いのもシェアオフィスの特徴です。積極的に交流すれば、他社間連携による新たなビジネスチャンスにつながるかもしれません。
しかし、シェアオフィスは内装や導入する設備が限定的です。設備を利用する際のセキュリティ面の不安も否めません。オフィスの住所も不特定多数とシェアするため、社会的な信用度が担保できないケースもあるでしょう。
自宅オフィス
自宅をオフィスにしてしまえば、別途にオフィスを設置する手間もコストもかかりません。今ある環境がそのまま利用でき、水道・光熱費などの固定も生活費と折半して経費にできるので、一から設備投資するより圧倒的にリーズナブルです。そのため、開業直後のフリーランスや、早急に起業・創業する必要のある場合などに適しています。
ただ、自宅にオフィスを設置すると、ビジネスとプライベートの区別が困難です。実地での打ち合わせの際に場所に困ることがあるほか、社会的な信用度も低く、住所・電話番号が自宅と同一のため、プライバシーが守れません。
したがって、事業の展開や拡大に合わせて、徐々に別形態のオフィスに移行することが推奨されます。レンタルオフィスやバーチャルオフィスといった、フレキシブルなワークスペースと組み合わせるのも一つの手です。
レンタルオフィスの7つのメリット

レンタルオフィスを活用することで、次のようなメリットが得られます。
- オフィス運営コストが最小限に抑えられる
- オフィス設置に時間がかからない
- 好条件のオフィスがリーズナブルに利用できる
- 必要に応じてオフィスのサイズが変えられる
- プライバシー保護やセキュリティ対策ができる
- 共用スペースが使える
- 付加価値の高いサービスが提供される
オフィス運営コストが最小限に抑えられる
一般的な賃貸オフィスの場合、開設にかかる費用だけでも数十万円〜数百万円にも上るほか、その維持・管理にもコストがかかり続けます。
レンタルオフィスなら、ビジネスに必要な環境が備わっているため、賃貸にかかる初期費用の大半が不要です。ワーキングスペースおよびその周辺設備の保守・運用も管理会社が担当し、そのコストも定額料金に含まれるため、費用負担が最小限で済みます。
オフィス設置に時間がかからない
一般的に、オフィスの新規開設にはある程度の時間がかかります。物件の選定や設備・インフラ整備などさまざまな工程を要するため、短時間では困難です。より良い環境を一から整えようとすると、数カ月〜年単位の時間を要することもあるでしょう。
レンタルオフィスは、あらかじめ必要最低限の設備・家具やインフラを完備しています。契約・入居後すぐにビジネスが始められるので、タイムパフォーマンスも抜群です。
好条件のオフィスがリーズナブルに利用できる
通常、都心や繁華街、駅近などの場所にオフィスを構えるには、莫大な費用が必要です。レンタルなら、オフィスの設立・運営にかかる費用が賃貸より大幅に抑えられるため、好条件の立地でも手が届きやすいでしょう。
特に、よりハイグレードなワークスペースが利用できるサービスオフィスなら、都内の一等地でもリーズナブルです。
必要に応じてオフィスのサイズが変えられる
賃貸や間借り、自宅だと、スペースの変更が容易ではありません。レンタルオフィスには、別途オプションとして規模やレイアウトが柔軟に拡張・縮小できるサービスもあります。スタッフの人数や、急な増員・人員削減など必要に応じて柔軟にスペースを調整することで、ワークスペースが最適化できるでしょう。
プライバシー保護やセキュリティ対策ができる
オフィスの機能性や柔軟性、信頼性を重視するなら、レンタルオフィスをおすすめします。レンタルオフィスは、一つのテナントを占有でき、施錠も可能なため、プライバシーやセキュリティ面も安全です。ITインフラのセキュリティ管理も徹底されているため、情報漏洩リスクも最小限に抑えられます。
安全性をより高めたいなら、ハイグレードなセキュリティ対策やプライベートエントランスなどを備えているサービスオフィスを選べば安心して利用できるはずです。
共用スペースが使える
一般的に、レンタルオフィスには他社との共用スペースが存在します。エントランスホールや休憩所のほか、ロッカー・キャビネットやカフェなど、さまざまな設備が自由に利用可能です。共用スペースを通して他社・異業種間の交流も生まれる可能性があり、コワーキングスペースとしての機能も兼ね備えています。
また、個別のワークスペース以外に利用できる空間のあるレンタルオフィスを選べば、会議や来客など幅広いシーンに対応できるでしょう。
付加価値の高いサービスが提供される
レンタルオフィスは、ただワーキングスペースが借りられるだけではありません。住所・電話番号の利用や、各種ビジネスサポートなど、高付加価値のサービスが提供されます。
特に、サービスオフィスの設備やビジネスサポートは充実した内容です。有名ブランド家具や総務・秘書業務などを代行するコンシェルジュサービス、多機能の設備など、ファーストクラスのビジネス環境が完備されています。
レンタルオフィスのデメリット
レンタルオフィスにはたくさんのメリットがある反面、一部サービスでは次のようなデメリットも存在します。
- 利用条件が限定される
- サービス内容によっては割高になる場合がある
利用条件が限定される
レンタルオフィスにあらかじめ備わっているビジネス環境は、改装や入れ替えができない場合があります。利用人数や、持ち込む設備・機材のサイズによっては、対応できないケースもあるでしょう。
くわえて、オフィスの利用時間が決まっていたり、共用スペースの利用が予約制になっていたりするサービスもあります。そのため、早朝・深夜の業務や海外とのやり取り、来客時などの対応に差し障るかもしれません。
また、レンタルオフィスは建物を他社と共有するという性質上、多くの顧客が訪れる小売店や、騒音・異臭が問題となる可能性のある飲食店などには不向きです。業種・業態による利用制限が設けられているケースもあるので、事前に確認のうえ、最適なプランを選択しましょう。
サービス内容によっては割高になる場合がある
基本料金に含まれるサービス内容が少ないレンタルオフィスだと、オプションを組み合わせていくうち、コストが高額になってしまうことがあります。オフィスの利用頻度や期間によっては、割高になることもあるでしょう。
したがって、事業拡大の可能性のある企業や、柔軟なワークスペースが必要な場合は、基本サービスの充実したレンタルオフィスのほうが結果的にお得です。一時的な料金の安さではなく、コストパフォーマンスを重視して選ぶとよいでしょう。
また、グレードの高いサービスオフィスでは利用開始時に保証金の支払いが必要なケースもあります。保証金は特に問題なければ返金されますが、退去時未収金がある場合は戻ってこないので注意が必要です。
レンタルオフィスを選ぶ基準となるポイント

レンタルオフィスを選ぶときは、次の4つのポイントを基準に比較・検討してみてください。
- 月額料金
- 個室のスタイルと広さ
- 立地
- 設備やサービスのグレード
月額料金
利用にかかる月額料金は、レンタルオフィスを選ぶ重要な判断基準になります。ただし、ただ料金が高いか安いかだけで決めるのはおすすめできません。企業・事業の規模や利用者数と月額料金を照らし合わせ、コストパフォーマンスの良いレンタルオフィスを選ぶことが大切です。
個室のスタイルと広さ
レンタルオフィスを選ぶ際は、業務の性質やスタッフの人数、ニーズに対応する個室を備えているかどうかをチェックしてください。完全個室もしくは多様な個室のスタイルがあるうえ、スペースの広さもさまざまです。
例えば、完全個室のレンタルオフィスは、外部と遮断できるためプライバシーが厳重に保護できます。
一方、衝立で仕切られた半個室タイプは、よりコストを抑えて利用できる点が魅力です。
立地
好条件の立地のオフィスを選定することで、業務効率化および社会的な信頼性のアップにつながります。せっかくオフィスを構えても、立地が悪いと利便性・生産効率やスタッフのモチベーション、対外的なイメージがダウンしかねません。
立地を比較する際は、通勤・移動のしやすさや土地のイメージなど、さまざまな要素を複合的に考慮することが重要です。
設備やサービスのグレード
どのような設備やサービスが提供されるかは、今後のビジネスを大きく左右する要素です。例えば、次のような設備・サービス内容およびグレードは、提供元によって大きく異なるのでしっかりチェックしましょう。
- 家具・設備のメーカーやブランド
- ビジネスサポートの内容
- 共用スペースの充実度
- 会議室・イベントスペースの有無
- セキュリティ対策
なお、上質なオフィス空間を求めているなら、ハイグレードなオフィスが手軽に利用できるサービスオフィスをおすすめします。
レンタルオフィスが活用できるシーン
レンタルオフィスは、次のようなビジネスシーンで活用できます。
- 法人登記用の住所・電話番号や事務所が必要なとき
- オフィスの開設費用を抑えたいとき
- 社会的信用度を高めたいとき
法人登記用の住所・電話番号や事務所が必要なとき
法人登記の際、自宅の住所はプライバシー面の不安があり、コワーキングスペースやシェアオフィスなどの共用スペースは使用できない場合があります。また、士業や建設業、不動産業など、一部の事業を始めるときは事務所の設置が欠かせません。とはいえ、賃貸オフィスは高額なコストがかかります。
そんなときに便利なのがレンタルオフィスです。自社の占有スペースがあれば、各種認可も下りやすい傾向にあります。
オフィスの開設費用を抑えたいとき
レンタルオフィスは、敷金・礼金など、一般的な賃貸物件にかかる初期費用が不要です。ビジネスに必要な最低限の環境が整っているため、設備投資も最小限になります。
また、事業の規模や局面に応じて規模やサービス内容を調整できるので、起業・創業直後や少数精鋭のベンチャー企業、今後の拡大を見据えている際にも柔軟に対応できます。
さらに、受付や電話応対、雑務の代行など幅広いサポートが受けられるサービスオフィスを選べば、人件費の削減にも効果的です。
社会的信用度を高めたいとき
レンタルオフィスを構えれば、その住所や電話番号が利用できるため、社会的信用度がアップします。エントランスや受付、共用スペースも整備されているので、来客にも安心感が与えられるでしょう。
多様なワークスタイルを導入したいとき
レンタルオフィスは、アフターコロナ時代のニューノーマルとして近年浸透しつつあるリモートワーク・テレワークの推進にも活用できます。
最小限のイニシャルコストで手軽に設置できるうえ、拡大・縮小も柔軟に対応できるため、必要に応じた規模に調整可能です。また、デットスペースにかかるムダなコストがカットできます。
レンタルオフィスを利用するならより上質なサービスオフィス「エグゼクティブセンター」へ
ワーキングスペースおよび各種設備・サポートが利用できるレンタルオフィスは、多様化する現代のビジネスに柔軟に対応するオフィスソリューションです。一連のサービスが定額料金で利用できるため、圧倒的なコストパフォーマンスの高さを誇ります。
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